ベトナムで働く外国人にとって、税制に関する知識は非常に重要です。税金制度を正しく理解しておくことで、無駄なトラブルや罰金を回避し、安心して仕事を進めることができます。以下に、ベトナムで働く際に注意すべき8つの税金に関するポイントを紹介します。

1. 居住者と非居住者の区別
ベトナムの税法では、183日以上ベトナムに滞在する場合、「居住者」とみなされます。居住者は全世界所得に対して課税される一方、非居住者はベトナム国内で得た所得のみに課税されます。滞在日数をしっかり管理し、税務上のステータスを確認しましょう。
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2. 個人所得税(PIT)
ベトナムの個人所得税は累進課税方式を採用しています。所得に応じて、税率は5%から35%までの範囲で適用されます。また、給与所得だけでなく、投資、資産譲渡、フリーランス活動などの収入にも課税されます。給与以外の収入がある場合は、申告を忘れないようにしましょう。

3. 税務登録と納税番号の取得
ベトナムで働く場合、納税者番号(Tax Identification Number, TIN)を取得する必要があります。この番号は、税務申告や税金関連の手続きに必須です。雇用主が手続きを代行することが多いですが、個人で確認することも大切です。

4. 控除対象と扶養控除
ベトナムの税法では、一定の条件を満たす場合、個人所得税の控除が認められています。例えば、家族の扶養者がいる場合、1人あたり毎月約4,400,000 VND(約22,000円)の控除が受けられます。また、労働者自身には毎月11,000,000 VND(約55,000円)の基礎控除が適用されます。

5. 社会保険と税金の関係
ベトナムでは、社会保険、健康保険、失業保険の加入が義務付けられています。これらの保険料は、給与から控除されるため、税引前の所得が減少します。雇用契約を締結する際に、これらの保険料が給与にどのように影響するかを確認しておくことが重要です。
6. 確定申告の義務
毎年3月末までに、前年の個人所得税の確定申告を行う必要があります。雇用主が手続きを代行することが一般的ですが、特に給与以外の収入がある場合は、個人で申告を行わなければなりません。申告漏れがあると、罰金が科される可能性があります。
7. 税務調査とコンプライアンス
ベトナムの税務機関は、外国人労働者を含む納税者に対して定期的に調査を行っています。不正確な申告や税金未納が発覚すると、罰金や遅延利息が課される場合があります。すべての収入を正確に記録し、必要な書類を保管しておくことが重要です。
8. 二重課税防止協定の活用
ベトナムと多くの国は二重課税防止協定を締結しています。この協定により、同じ所得に対して二重に課税されるのを防ぐことができます。自国とベトナム間の協定内容を確認し、必要に応じて申請手続きを行いましょう。