ベトナムでのビジネス活動を開始するためにオフィスを賃貸する際、適切な法的手続きを行うことが成功の鍵となります。しかし、外国人の方や初めてベトナムで契約を行う方にとって、その手続きは複雑に感じられるかもしれません。本記事では、賃貸契約を円滑に進めるために知っておくべき5つの重要な法的手続きについて、分かりやすく解説いたします。

1. 賃貸契約書の確認と翻訳
ベトナムのオフィス賃貸契約では、契約書は通常、ベトナム語で作成されます。外国人の場合、内容を正確に理解するために、プロの翻訳者による翻訳を依頼することをお勧めします。また、以下のような重要な内容を確認することが必要です:

- 賃貸期間
- 賃料および支払い条件
- 解約や更新に関する条項
- 施設利用に関する制約
さらに、契約内容が法令に準拠しているかを弁護士に確認してもらうことが望ましいです。これにより、後々のトラブルを未然に防ぐことができます。
2. オフィスの所有権および賃貸資格の確認
オフィスを貸し出す側(オーナー)が、実際にその不動産の合法的な所有者であり、賃貸資格を有しているかを確認することが重要です。
- **不動産所有権証明書(Giấy chứng nhận quyền sử dụng đất)**の提示を求める。
- 賃貸業務の許可が含まれる事業登録証明書を確認する。
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これらを確認せずに契約を締結した場合、万が一の際に法的保護を受けられない可能性があります。
3. 保証金や初期費用に関する取り決め
多くの場合、ベトナムでは賃貸契約締結時に保証金(通常1~3か月分の賃料)が求められます。この保証金に関する取り決めについて、以下の点を明確にする必要があります:
- 保証金が返還される条件
- 保証金が適用される範囲(修繕費用など)
- 契約解除時の返金プロセス
また、初期費用(例:仲介手数料やオフィスの清掃費用)が発生する場合、それらの費用も事前に確認することをお勧めします。

4. 賃貸料と税金に関する規定
ベトナムでは賃貸料に対して税金が課される場合があります。契約書には以下の情報を明記することが重要です:
- 賃貸料に含まれる費用(例:管理費、光熱費)
- 税金(通常、付加価値税や法人所得税)の負担者(オーナーまたは借主)
さらに、賃貸料の支払い方法(現金、銀行振込など)や支払いタイミングについても、明確に定める必要があります。
5. 地方自治体への契約登録
一部の地域では、賃貸契約を地方自治体に登録することが必要です。この手続きは法的に義務付けられている場合があり、未登録の契約は無効と見なされる可能性があります。契約登録の際には以下の書類が必要となることがあります:

- 賃貸契約書
- 不動産所有権証明書のコピー
- 借主の事業登録証明書(法人の場合)
登録手続きが完了した後、契約書に正式な印鑑が押され、法的な効力を持つことになります。